Wi-Fi HaLow Development Forum 2025 報告
802.11ah推進協議会
広報・普及TG
2025年5月22日に毎年恒例のWi-Fi HaLow Development Forum 2025をCIATと共同で開催しました。
Agendaにも含まれている通り、台湾における850MHz帯域利用を想定したトライアル実施についてなどWi-Fi HaLow普及に向けたさまざま取り組み・発表がありました。
◇プログラム(Agenda)
Time |
Session |
Speaker |
14:00 - 14:10 |
Opening Remarks |
Tadao Kobayashi / AHPC Chairman
James Lee / CIAT Beyond 5G SIG Vice Chairman |
14:10 - 14:40 |
Keynote : NTT East's Best Mix Wireless Strategy @ Wi-Fi, 11ah and Local 5G |
Norikazu Watanabe / NTT East General Manager |
14:40 - 15:10 |
Keynote : Current Status of the 920MHz Band and Efforts toward the 850MHz Band |
Tadao Kobayashi / AHPC Chairman |
15:10 - 15:30 |
Proposal for Implementing a Joint Japan-Taiwan Project @850MHz in Taiwan |
Chun Chen-Chang / Wi Fi WG Leader, CIAT Beyond 5G SIG |
15:30 - 15:50 |
Break and Networking |
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15:50 - 16:50 |
Introduction of 802.11ah Products and Use Cases |
Taiwan Makers 6 ~ 8
Japanese Maker 1 |
16:50 - 17:20 |
Solutions Exhibition / Demo |
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17:20 - 17:30 |
Closing Remarks |
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● 開会挨拶(Opening Remarks)
小林さん挨拶
このフォーラムは3年前からCIATと一緒にやってきて、参加人数も増えている。
このフォーラムは台湾と日本の専門家が集まって普及を目指ざすものであり、IC、端末、ソリューションメーカなどさまざまなメンバーが集まっており参加メンバーでエコシステムを構築することも可能である。
今後本格的なIoT普及にHaLowは必要不可欠なネットワークと考えているため、この場から新しい革新的なビジネスが進むことを期待している。
Jamesさんご挨拶
このフォーラムはCIATとAHPCの伝統のイベントになっている。
CIATとAHPCは信頼に基づく重要かつ良好なパートナー関係になっている。
今後は具体的なビジネス化に取り組んでいくフェーズになっており、スマート工場などさまざまな現場での実装が進んでいる。
この場は日本企業と台湾企業の交流の場になっているが、交流にとどまらず新しいビジネスが創造されることを望んでいる。
●渡辺さん(NTT東日本)
私も3年連続参加しているが、どんどん規模が大きくなっておることを実感している。
労働人口が減っている日本においては今後IoTとAIを利用することが不可欠である。
NTT東日本ではワイヤレス分野の中でもLAN通信に力を入れている。
NTTの莫大なリソースを利用して、日本全土におけるDX化を推進している。
NTTではLTEキャリア以外の無線通信はすべて扱っており、それらを組み合わせたソリューションを提案している。
ギガらくWi-Fiはビジネス向けサービスにおいて日本最大の利用者をもっているおり、ギガらく5Gもサービス提供を開始している。
HaLowの利用イメージ
・リモートモニタリング
・地下などのインビルディング通信
・工場などの設備センサリング
通信で求められるのはどちらかというと上りのスピードが重要視される。
NTT東日本では集合住宅に対してのHaLow適応を進めている。
ゴミ捨て場、駐輪所、駐車場の監視などに使用している。
また上下水道のポンプ監視にも使用している。
5Gを利用したトンネル内における重機の自動運転制御システムもテストしている。
拠点間のネットワークにはIOWNを使用している。
狛江市の公道で行っているバスの自動運転テストでは街中に設定したスマートポールからの情報とバスのセンサー情報を組み合わせて制御している。
8台のカメラ映像がハンドオーバーで途切れることなく転送されることが重要である。
街づくりプロジェクトにおいては
・高齢者の見守りシステム
・河川敷の監視映像転送
・河川の水位監視システム
などを進めている。
今後を見据えてデジタルツインの実証を初めている。
HaLowも5Gも普及が進むについてオペレーターの役割が重要になると考えている。
●小林さん(AHPC)
CIATとAHPCでは共同でWi-Fi HaLow普及に向けた活動を行っている。
vLabでは台湾製品も含めた製品展示を行っており、実際多くの訪問者に手に取ってもらっている。台湾メーカーも新製品があればどんどん展示に追加してもらい、台湾メーカーの方々にも是非vLab見学にも来てもらいたい。
CIATメンバーの協力のお蔭で90ページ以上に渡る素晴らしいHaLow製品カタログが完成した。今後この製品カタログをより多くの人に見てもらえる機会を増やす。
掲載製品の追加は随時対応していくので、希望があればCIAT経由で連絡してほしい。
来週のワイヤレスジャパンでは40個以上の台湾製品を展示する。
昨年9月に台湾企業によるデモや製品紹介を目的とした大きなセミナーを実施し、また別枠では台湾メーカー2社によるミニセミナーも実施した。
これらには100社以上のオンライン参加があり、大盛況であった。
今後はテーマを絞ったミニセミナーを定期的に開催することも有効であると考えている。
vLabにおいて相互接続試験をNTT東日本さん中心で実施し、台湾からも4社以上参加してもらった。
結果は今後AHPCホームページで公開し、追加試験も実施する予定にしている。
台湾と日本が協力して多くのビジネスが成立するようにAHPCも出来る限りの努力を行う。
AHPCは6年前の発足時の会員数は60社程度だったが、今は190以上の会員数になっている。
この会員数の増加は商売対象が増えていることの表れと考えており、非常にいい傾向であると捉えている。
2024年度に会員企業によって作られたPoC製品は110機種以上になる。
この数字にNTT東日本開発分は含まれていないので、実際はもっと多かったことになる。
これは日本国が行っている地域デジタル基板推進事業においてHaLowが多く採用されたことも影響している。
920MHz帯の問題点をカバーする為に850MHzの利用開放に向けて進めている。
850MHzについては今後CIATと共同で台湾におけるトライアルを実施する予定にしている。
今後もCIATとAHPCが協力して、さまざまな事に取り組んでいきたい。
●Chun Chen-Changさん(CIAT Wireless担当WG)
CIATとAHPCで850MHzのトライアルを共同で実施することを計画している。
日本において2029年に850MHz帯での運用が正式に開始される予定である。
920MHz帯ではDuty制限によって映像転送など機能が制限されてしまっているが、850MHz帯域ではこれらのリミットから解放されることになる。
台湾では希望周波数でのトライアルを実施することは認められている。
もちろん申請が必要であり、申請には多くの書類が必要である。
無線電波は目に見えないということからも厳しく審査されている。
台湾においては2つの政府部門への申請が必要となり、5か月から6か月の申請期間が必要となる。
申請が認められればその後1年間使用可能になる。(最大18か月)
役割分担としては下記を想定している。
AHPC:トライアル全体のプランニング、評価内容検討
CIAT:参加企業・実験設備確保
トライアルの目的はプラットホームを構築して850MHzの実力を把握することである。
得られたデータは日本での850MHz帯の制度化にとっても貴重なデータになると考えている。
台湾でのトライアルは3段階に分けて実施予定である。
1段階目:基本的な通信評価(通信距離、アンテナ高さ影響、RSSI,SNR,スループット計測)
→ パラメーター変動による影響を可視化することで、実用システム検討時のリファレンスデータとして使用する。
2段階目:アプリケーションを想定した評価 (ネットワーク構成、通信方向パターン評価)
→ 様々な構成で評価を行うことで想定される各アプリケーションに適した構成検討や各構成で問題点を洗い出す。
3段階目:様々な端末を接続した評価(アクセスポイント、カメラ、センサー使用評価)
→ 1段階目、2段階目の評価結果を元に製品レベルの機器による実アプリケーションを想定した評価を行う。
2段階、3段階目の実施場所は屋内アプリケーション想定としてITRIの社員食堂(1,800人収容)、屋外アプリケーション想定として農地、魚の養殖場を想定している。
1段階目については外乱影響が少ないと想定される農地で実施予定である。
スケジュールは暫定的に下記を予定している。
2025年
5月:参加企業、設備募集
7月:申請書提出
12月:トライアル開始
2026年
4月:実験完了・結果報告
●各企業製品紹介
・Accton
EAP112、HaLowCamera紹介
EAP112-HはLTE非搭載モデルである。
両製品とも動作温度範囲は-40~50℃である。
HaLowDoorLockも規格している。
・ALFA
CPE、M.2、LCCModule、Antenna紹介
HaLow+WI-Fi+LTE Routerも販売している。
台風モニターや台北での下水道/排水溝モニターシステムに使用されている。
またビル建設現場での採用実績もある。
・Askey
Module、Router、Gateway、Camer紹介
Duty10%制限の下では複数カメラ実験では5台から不安定になる結果を得ている。
台湾のバス停向けのソリューションも進めている。
・AzureWave
Module紹介
2005年に設立した。
生産拠点:上海、ベトナムの2拠点
日本と中国をサポートすべくそれぞれにオフィスを立ち上げている。
・TechWare
HaLowGateway、EthHaLow、USBHaLow紹介
スマートホームに向けた取り組みを行っている。
・UConnect
RS-232C、RS-422/485ブリッジ、EtherBridge紹介
アンテナは2dBiを使っている。
・WNC
Wi-Fi4 HaLowGateway紹介
IoTソリューションを進めている。
5GやWi-FiをふくめたBridgeネットワークを進めている。
USBやEthernetを使用したHaLowBridgeデモが実施可能である。
台湾メーカー機器展示に対して日本からのAHPCメンバーからも多くの質問・相談が行われました。その中で実ビジネスに向けた議論もあり、今後のWi-Fi HaLow普及に向けた良い場になりました。